オーストラリアのスターエンターテインメントグループが、2025年9月30日を期末とする第3四半期の業績を発表した。売上高は、シドニー施設の業績安定化とクイーンズランド州のカジノにおける季節的な取引量増加により、前期比5%増の2億8400万豪ドル(約275億円)となった。しかし、前年同期比では19%の減少であり、依然として歴史的な低水準での推移が続いている。
EBITDA損失は前期の2700万豪ドルから1300万豪ドルに縮小したものの、事業は赤字経営から脱却できていない。同社は、NSW州でのカード式プレイ義務化や現金使用制限、全施設における規制強化など、厳しい事業環境が続いていると説明した。
また、マネーロンダリング対策違反に対するAUSTRAC1からの罰金、金融機関からの継続支援、Bally’s 社2からの戦略的投資に対する規制当局の承認など、多くの不確実性が事業継続の前提(ゴーイングコンサーン)に影響を与えていると指摘した。
source: IAG [Star performance stabilizes but still loss making in three months to 30 September]
- AUSTRAC(アストラック)は、”Australian Transaction Reports and Analysis Centre” の略称で、オーストラリア政府の金融情報機関(FIU: Financial Intelligence Unit)であり、主な目的は、マネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金供与、その他の重大な金融犯罪を防止・摘発することである。 ↩︎
- Bally’s 社は、アメリカのロードアイランド州プロビデンスに本社を置く、大手カジノ・エンターテインメント企業。全米各地でカジノホテルや競馬場を運営しており、近年、特に積極的な事業拡大で注目を集めている。現在、ニューヨーク州はニューヨーク市近郊(ダウンステート)に最大3つのカジノライセンスを発行する予定で、Bally’s社はこのライセンス獲得を目指す有力候補の一つである。 ↩︎

